コクリバ 【完】
先輩に引っ張られるようにカフェ・ド・マティスを早々に出た。
辺りは既に陽が落ち、イルミネーションだけが輝いている。

「少し歩くか?」

先輩が前を歩いてその後ろをついていく。まるで高校時代のように。

先輩は踏切の方へと向かっているようで、

「どこに行くんですか?」
「さぁな。駅の反対側でも行ってみるか……」
「だったら、この先の住宅街で綺麗にイルミネーションを飾ってある地区があるんです。そっちに行きませんか?」

北口には行きたくないから、咄嗟に方向を変えた。

「あぁ。おまえが案内してくれ」

私が回れ右をして歩き出すと、先輩は私の右横を歩いていた。

「バイクなんですか?」
「マスターに聞いたのか?」
「はい。前回来てくれた時、どこかに泊まったんですか?」
「あぁ。飲酒運転はしたくねーからな」
「今日もバイクですか?」
「あぁ……」

先輩は今日も泊りのつもりなんだろうか?

だとしたらどこに?

うちに泊まってもらう?

ドキドキしてきた……

「今日は飲まねーから、安心しろよ」

まるで私の心の声が聞えたかのような言葉に頬が熱くなった。
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