コクリバ 【完】
次の日、出勤すると、

「奈々先生。見たわよー!」

友紀奈先生をはじめ、いろんな人たちに昨日のニュースのことを言われた。

夏休み直前のユリ組の子供たちにまで、

「せんせい。テレビにいたね」

しっかり見られていた。

ということは保護者にも見られている可能性も高く…いや、絶対見られている。

それに気付いて青くなった。

何か言われるかもしれない。
担任として不適切とか、また言われるのかもしれない……

その日一日、落ち着かない時間を過ごした。

園児たちが帰って一人でユリ組の教室で作業をしていた時、ノックの音が聞こえビクリと肩が跳ねた。

「奈々先生。今、大丈夫ですか?」

洋祐先生が一人で入ってくる。

背中に冷たいものが走る。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

先手を打って、頭を下げた。

「ご迷惑?」
「あの……ニュースの件ですよね?保護者からクレームの電話が来たとか……」
「あぁ。いえ、そういうのは来てないですよ」
「そうですか……でも、その件ですよね?」
「まぁ、その件と言えば、その件ですが……」

洋祐先生が眼鏡をかけ直した。

「……すみませんでした」
「いえ。注意しに来た訳ではありません。あれを見たら誰も怒る気にはならないですよ。どちらかと言うと応援したくなる、と思います」
「…洋祐先生」

洋祐先生の口元が優しく弧を描く。

「彼は自衛隊の人だったんですね」

あの、鉢合わせした夜の光景が浮かんだ。

「…はい…」
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