コクリバ 【完】
7月の終わりの私の誕生日は、例年通り普通に仕事していた。

夏休みに入ったこともあり子供たちは少なかったけど、研修もなく真理子先生とカフェでケーキを食べて帰ってきた。

何気なくポストから持ってきた手紙の中に、宅配便の不在連絡票が入っていた。

送り主の欄に、高木誠也と書いてある。

ドキンとした。

もう帰って来たのかと思った。

だけど、日付指定の文字が見える。

宅配便の会社に電話して、「大至急持ってきてください」と伝えソワソワしながら待つと、届いたのは有名ブランドの紙袋。

Happy Birthdayのカードと箱が入っている。

覚えていてくれたんだ。

嬉しくてドキドキしながら丁寧に箱を開くと、中から出てきたのはペンダント。

ホワイトゴールドのハートが二つ並んだペンダントヘッドが付いている。

大きいハートに寄り添うように小さなハートがくっついているペンダントが、彼と私みたい。

これを高木誠也がどんな顔で選んだのか、想像すると自然に口元が上がる。

でも、お礼を言いたくても、彼はいない。

仕方なくメールをするけど、当然返信はない。

現実を改めて突き付けられた気がした。

まだ出航してひと月も経っていないのに会いたくて仕方がない。


こんな状態でちゃんと待てるのか自信がなくなってきた。
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