コクリバ 【完】
どの元カノ?

まさか、吉岡がまだ私のことを?

それはない。

だって……

「いっつも彼女いたじゃん」

考えていたことが口から出ていた。

「消すことに必死だったんだよ」

何を?とは聞けなかった。


吉岡とは別れた直後は疎遠になったけど、卒業前にはまた話すようになって、卒業してからは絢香とオサムッチが仲良いから自然に私と吉岡も一緒にいた。

その間、吉岡の彼女だって見たことある。

幸せそうに彼女の肩を抱くところも目撃したことがある。

その時、胸が痛んだことは誰にも言ってない。

「あの人がOB会に来た時、もうその姿を見た瞬間諦めたけどな。俺その頃まだ学生だったからあの人の働く男の自信って言うか、オーラに、敵わねーって感じだった」
「吉岡……」

吉岡が思い出したように笑った。

「ふっ。だけどさ、あの人、俺にすげー対抗してくんの。リバウンド取らせなかったり、あのデカい体でファウル寸前まで俺の事追い詰めてくんだよ。普通、OB達ってそこまで本気でやらないんだよ。笑いながらやるもんなんだよ……だからさ、俺も本気であの人を抜きにいったんだ」

吉岡の目がバスケをしてる時のようにキラキラしている。

「それで?」
「……弾かれた。あの人、現役だった頃より強くなってた」
「そっか……」
「そうまでして俺に勝ちたいか?本気で俺だけ狙ってくるんだぞ。ガキか!って言ってやりたかったけどな」
「言ったの?」
「言えねーよ。キャプテンには言えねー。お前の兄貴なら言えるけど……」

似たようなことを聞いたことがあるのを思い出し、一人で笑った。
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