コクリバ 【完】
「でも、おまえ、一度も俺の事、下の名前で呼んだことないだろ」
「そうだっけ?」
「知らないんじゃねーの?」
「知ってるよ」
蒸し暑い空気が、ふっと揺らいだ。
吉岡が歩く足を止めて私の方を見るから、私もそれに向き合う。
スッと伸びてきた吉岡の腕にあっという間に包まれた。
私も吉岡の背中に腕を回し、その胸に頬を付けた。
それは恋人同士の抱擁のようでもあり、同志のハグのようでもあった。
すぐに離れた温もりは、照れくさそうに前を歩く。
うちの前まで来たら、振り返って
「元気でな」
そう言い残して笑顔で帰っていった。
吉岡には、感謝することばかりだ。
「ありがとう。成司」
「そうだっけ?」
「知らないんじゃねーの?」
「知ってるよ」
蒸し暑い空気が、ふっと揺らいだ。
吉岡が歩く足を止めて私の方を見るから、私もそれに向き合う。
スッと伸びてきた吉岡の腕にあっという間に包まれた。
私も吉岡の背中に腕を回し、その胸に頬を付けた。
それは恋人同士の抱擁のようでもあり、同志のハグのようでもあった。
すぐに離れた温もりは、照れくさそうに前を歩く。
うちの前まで来たら、振り返って
「元気でな」
そう言い残して笑顔で帰っていった。
吉岡には、感謝することばかりだ。
「ありがとう。成司」