コクリバ 【完】
ドキドキの朝はやっぱり早めに目覚めてしまった。

あれから一応、『迎えに行きます』と返信したけど、その後はメールも電話も掛かってこない。

出航の時に仲良くなった村岡さんは、家に数回お邪魔させてもらったので、子供の美和ちゃんともすっかり仲良くなっている。

その村岡さんにメールした。

『何時ごろ行きますか?』

『14時には行ってると思う』

そんな感じの返信に、私もそのくらいに行こうと決めた。

だけど、実際には、既にやることも無くて、かなり早めに家を出た。

どこかでブラブラして時間潰ししようと思っていたけど、そんな気分にもなれないで、結局そのまま基地に入っていった。

「あれ?村岡さん。もう来てたんですか?」

「ふふ…やっぱり落ち着かなくてねー。早めに来ちゃった」

村岡さんがニッコリと微笑む。

「私もです」

お迎えの場所には既に何人かの人たちが見える。

村岡さんととりとめのない話をしながら待っていると、しばらくして本当に真理子先生が現れた。

「来ちゃった」

少し頬を赤くした真理子先生の今日のメイクは薄い。

「真理子先生。そっちの方が可愛いですよ」
「時間が無かっただけよ」

唇を尖らせた真理子先生が、視線を海の方へ向ける。

「ねぇ。あれ。そうじゃない?」

真理子先生が海の向こうを指さしている。

他にも気付いた何人かの人たちが、ざわつき出した。

海の向こうの更に先に、点のような黒い物が見える。

「村岡さん!あれ、あれ!」

片手で逸る胸を押さえ、片手で指さす。

「待って。どれ?」

村岡さんが美和ちゃんを抱っこして、近付いてきた。

「あれ、そうじゃないですか?」
「え?どこ?」

右へ左へ目を凝らし、先の先を探す私たちの横で、

「パパ!」

美和ちゃんが両手を伸ばした。

「この子の方が分かってるみたい」
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