ここで息をする
「言っただろ、許可取れてるって。練習中にプール使うのも、水泳部の人達に協力してもらうのもすでに了承済みだ。……まあ、あくまでも練習の邪魔をしない程度の撮影の予定だからな。端のレーンを一つ借りて波瑠が泳ぐことで、主人公が水泳部として泳いでるように見えるように撮るつもりだし」
「水泳部のみんなはちゃんと映研部の活動のこと理解してくれてるし、一緒に混ざって泳ぐぐらいなら全然いいって言ってるよ。エキストラやるのも楽しみだって張り切ってるぐらいだし」
高坂先輩の説明のあと、航平くんが加えるようにそう言った。水泳部の部長をしている航平くんがそう言うのなら、たぶん水泳部全員の意見のもと了承したってことなのだろうけど……。
それでも、本当にいいのだろうかと気にしてしまう。
「でも……大会だって、あるよね? 航平くんなんて練習もしてメインの役もやるって、大変じゃないの? 大丈夫?」
思えば、航平くんに一番負担がかかってくる。私は帰宅部で夏休み中も特に予定はないから難なく撮影に参加出来るけど、航平くんは全然違う。
日々水泳部の練習もあって、それにプラスして撮影もしなければならない。両立しようと思えば出来ることなのかもしれないけど、役的にどうしても大変になる状況は容易に想像出来た。
不安げに見つめる私を安心させようとしたのか、航平くんは柔らかい声であやすように言う。
「ありがとな、心配してくれて。でも大丈夫だよ。撮影時期のこととかは事前に瑛介から聞いてたし、そういうの含めて俺はこの役をやるって決めたんだから」
「そう、なんだ……」
「ていうか俺より、波瑠こそ夏休みの宿題とか大丈夫なのか? 撮影に追われて終わらないってことにならないように、ちゃんと計画的に進めとけよ?」
「わ、分かってるよ、そんなこと……」
しどろもどろになりながら唇を尖らせる。