冷たい男
無言で食事をしてると、いかなりけたたましい音を起てながら、携帯が鳴った。

風岡は常にマナーモード。

自身の着信だとわかりながらも、肩をビクッとさせながら、スクールバックのサブポケットに挟まるスマホを取り出した。



「もしもし?」



『あ、君、侑李ちゃん?』



「そうですけど」



『あ、俺ね。出会い系――…』



登録してない電話の相手。

だいたいはわかってた事。

私は電話の内容がわかり、話の途中で電話を切った。



「またか」



「暇なんでしょ。どいつもこいつも」



特に気にも止めてない為、食事を再開。

最初は出会い系サイトに勝手に登録された頃の電話は引っ切りなしで、鬱になるかとも思った。

でも、最近は2~3日に1回となり、気にするのを止めた。

誰とも連まない。

だけど髪の毛は明るい色に染め、煙草で何度も呼び出しをされてる私は、派手なグループから敵対視されてる。

表立ったイジメや嫌がらせはないものの、こんな幼稚な事ばかりされて迷惑。

それでも何も言わないのは、相手にするだけ無駄だと諦めてるから。

話すだけで疲れる。

それはそれで向こうは腹を立ててるだろうけど、私には知ったこっちゃない。



「ご馳走様。煙草買って来る」



私はお皿と割り箸を片付けて、自動販売機へ行こうと、財布を手に風岡の家を出た。
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