冷たい男
煙草を灰皿へと置き、しゃがんで指先を揉みながら息を整える。
しばらくすると痺れは治まり、気持ちが落ち着いて来る。
嫉妬がなくなった訳じゃない。
けど、泣きたいほど苦しくない。
「お茶」
「うん」
電話を終えたのか、無表情の風岡がグラスを手にやって来た。
私はグラスを受け取り、冷蔵庫からお茶を出して注ぐ。
「はい、どうぞ」
それをソファーに戻ってた風岡に届けると、不意に腕を引かれた。
膝に乗せられ、頭を撫でられる。
何でだろうか。
電話の女性に重ねられてるのだろうか。
しかし……それでも嬉しかった。
風岡の胸に寄り掛かると聞こえる心音は、私を落ち着かせる。
メトロノームのように安定して刻まれる音だけは癒しを与えてくれる。
「私も、お茶欲しい……」
喉が渇いてる訳ではなく、もっともっと風岡が欲しいんだ。
お茶は単なる言い訳。
口にお茶を含んだ風岡の頬に手を添えて、自ら繋がりに行く。
心は繋がらなくても、他で何か一つ。
口端から、首へと流れ行く滴を風岡の指先で拭われながら、ソファーの上で抱かれる。
どこでも場所は構わない。
今だけでも、私を……足立侑李を愛して。
嘘の愛でも構わない。
冷たい瞳に、私を映してくれれば良い。
お金や地位なんて、いらないから――…。
しばらくすると痺れは治まり、気持ちが落ち着いて来る。
嫉妬がなくなった訳じゃない。
けど、泣きたいほど苦しくない。
「お茶」
「うん」
電話を終えたのか、無表情の風岡がグラスを手にやって来た。
私はグラスを受け取り、冷蔵庫からお茶を出して注ぐ。
「はい、どうぞ」
それをソファーに戻ってた風岡に届けると、不意に腕を引かれた。
膝に乗せられ、頭を撫でられる。
何でだろうか。
電話の女性に重ねられてるのだろうか。
しかし……それでも嬉しかった。
風岡の胸に寄り掛かると聞こえる心音は、私を落ち着かせる。
メトロノームのように安定して刻まれる音だけは癒しを与えてくれる。
「私も、お茶欲しい……」
喉が渇いてる訳ではなく、もっともっと風岡が欲しいんだ。
お茶は単なる言い訳。
口にお茶を含んだ風岡の頬に手を添えて、自ら繋がりに行く。
心は繋がらなくても、他で何か一つ。
口端から、首へと流れ行く滴を風岡の指先で拭われながら、ソファーの上で抱かれる。
どこでも場所は構わない。
今だけでも、私を……足立侑李を愛して。
嘘の愛でも構わない。
冷たい瞳に、私を映してくれれば良い。
お金や地位なんて、いらないから――…。