冷たい男
両親をエスコートする将李。

私は統李にエスコートされて、ホテルの最上階にあるレストランへと向かう。



「さぁ、みんなで乾杯しましょう?いつものを頼むわ」



母親は、ウェイターにドリンクをメニューも開かずに注文。

両親と統李は、今ホテルにある中の最高級ワインを呑むのはいつもの事。

私と将李には、ジンジャーエールが運ばれる。

統李は25歳だが、将李はまだ19歳で大学生。

きっと親の影では飲酒してるだろうけど、今は大人しくジンジャーエールが注がれたグラスを手にした。

乾杯を済ませて、他愛ない話をする。

私たち子供は、訊かれた事を答えるだけ。



「侑李もそろそろ、進路と同時に、将来の伴侶について考えましょうね」



「はい。お母様」



何が悲しくて、親の決めた相手と結婚しなきゃいけないのか。

両親は確かに、裕福な家庭にそれぞれ生まれてお見合い結婚した。

しかし、相性の良い相手と出会えたのはたまたまな話。

現実問題、そんな簡単ではないのに。

ましてや自分は25歳で結婚しながら、私には大学卒業後すぐに結婚させるつもりなんて、私をどうしたいのか。

確かに人生に目標なんてない。

しかし、まだ大学にも入ってない今、これからの事なんてまだわからないじゃない。

統李はファッションデザイナーとして地位を確立し。

将李は楽して父親の後を継ごうとして経済学部に進学しただけで、結婚や恋人について何も言われてない。

同じ兄妹であってこの差は何だろう。
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