真夜中のアリス

ニョロニョロとしていて、けれど醸し出される雰囲気は先程のきのこと同様、どこか気品ある英国紳士そのものだ。顔らしき部分にはちょっとお茶目な左右が巻かれ外に向いている髭をどこから生えてあるのか肉眼じゃ確認出来ないけれど、きちんとある5本の指で軽く弄りながらこちらを見て大きな笑い声を上げる。

「君は面白い事を言うのだね。アリス、安心をし、人間を食す趣味はしとらんよ。儂は美食家だからのぅ。
そんな事よりも、そんなに睫毛を濡らし目も赤くして可哀想に。さぁこれをお飲み。きっと身体が暖まる筈じゃ。」

あたしの手元に差し出されたのはワンセットのティーセット。ふわりと湯気が立ち薫るのは、どこか暖かく優しいカモミール。
反射的にティーサーバーを受け取り、恐々とカップに口を付けて一口。それを芋虫はただ満足気に見つめている。
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