真夜中のアリス

小さな掌で扉を叩くが、ウサギの腕力では人間でいう、ノック程度の力にしか効力がなく。
どんどん と鳴り響くどころか、 こんこん とさえも聞こえてこない。
それでも、無駄な抵抗だと理解っていてもウサギは手を止めない。
そんな姿を見た女王はため息ひとつ。

「ちょっとお互い冷静になりましょう、ウサギさん。ここで、感情的になっても何も事態は良好しません。
あなたは一体“闇夜の日”がどういったものか、ご存知ですか?」

「闇夜の日…。それはこの世界を一瞬にして黒に染める日では…」

女王の問い掛けに、何故今そんな事をと首を傾げながら答えるウサギ。実際ウサギの思考は置いてきぼりにしてしまった瑠衣の事でいっぱいで、それが正しい答えなのかは自身でも判断しかねていた。
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