真夜中のアリス

物語通りの白いウサギを見失って数刻。
なんだか変な2人に捕まってしまったあたしは、暫くキノコの椅子に座って織り成す言の葉のカケラをひとつひとつ聞き逃さぬよう耳を傾けていた。
話の節々から、彼らはやはり双子の姉弟であたしそっくりな女の子が「さくら」で、困り顔ででもしっかり歌っていた男の子は「スイレン」って名前らしい。

「そこで、針鼠のあいつはこう言ったのよっ!
ああ!何とも言い難い腹立ちさ!
思い出すだけで腸が煮えくりかえりそう!!臍で茶が沸きそうだわ!もう謝ったってもう許してあげないんだから!」

「いやいや。落ち着いて聞いてみなよ。何も針鼠くんだって悪気があったわけじゃないかもよ?
まさにそれは言葉の相違がもたらした、何とも悲しい仲違いだね」
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