真夜中のアリス
何重にも何重にも鍵をかけて、重石をのせて記憶の海へ落としたはずの箱の隙間から記憶が溢れていくように、断片的な記憶がパズルみたいに現れる。
わなわなと震え出す掌。あの日の残像が壊れた映写機のように無音で流れてくるからだ。
「(朱鳥くんになんてわからないよ!あたしの気持ちなんて!やっぱりあなたと世界が違うの!)」
「(なんでそんな風に思うの?俺はただ瑠衣ちゃんの傍にいたいだけなのに)」
「(嘘ばっかり!もう信じない!信じられないよ!
…….…朱鳥くんなんて 大っ嫌い!!)」
あの時、思いつめていたあたしは激昂の余りに思ってもいない残酷な嘘を吐いた。彼の話さえ聞かずに。それがどれほどの毒牙であり永遠に抜けることのない致命傷になるとは想像も出来ずに。