真夜中のアリス

どうやら、森全体に聞こえていたあの軽快で軽やかな音楽はどうやらこの場所の蓄音機から流れ出ていたらしい。
ピアノの旋律は、庭園の主の趣味なのだろうか。止まる事を知らないように、明るいジャズが延々と流れ続けている。何気なく横目でレジーナの姿をちらっとを見てみる。

歩きながら、ピアノよりフルートが好きだと豪語していたものだから、きっとあの通り名と同じような表情を浮かべているのではないだろうかと、少しハラハラしたからだ。

「…? 笑ってる…」

あたしの予想とは真逆で、森の動物たちと何やら楽しげに嬉しそうに声を上げて笑ってお茶に舌鼓をうっている。その笑顔が、あまりにも美しくて綺麗なものだから思わずどきんと胸の高鳴りを覚えてしまう。
< 249 / 349 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop