真夜中のアリス

「(ああやって笑ってれば凄い美少女なのになー。勿体無い。無愛想で毒舌だなんて)」

薔薇にも劣ることのない可憐さと優美さを持っているのに、やっぱり勿体無いよなー。
なんてぼんやりそう思えば、逆に禍々しい程の視線を感じる。レジーナだ。
微笑んで此方を見ているけれど、何か彼女の背後から黒いモノを感じる。まさかあたしの心の声を読んだというのだろうか。
冷や汗とともにたじろぎ、思わず髪を靡かせ首を横に振りながらとりあえず否定の意を示しておく。

「アリス…、何やってんだ?」

呆れたような低音の声色。視線を向ければそこに現れたのは、ティーカップとソーサーを持った主。
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