真夜中のアリス

「ご、ごめんなさい。なんでもないです!
っていうかあたし、アリスじゃないんだけどなぁ…」

「何言ってんだよ。そんな格好して、アリス以外の何者でもねえじゃんか」

あたしの格好を上から下へ、見定めるように視線を送りあっけらかんとしていて歯に着せぬ物言い。なんとまあ、不思議の国だというのになんて口の悪い主なんだろうか。

「好きで着てるんじゃないわよ!これしかなかったから…」

言いかけてやめた。大体今更だけれども、どれだけ名前を言ったって誰も彼もがあたしの事を必ず“アリス”としか呼ばないことに気付いたからだ。

「もうアリスでも何でもいいや。主さん、名前はなんて言うの?やっぱりマッドハッター?」
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