【続】興味があるなら恋をしよう
「親御さんに挨拶には行ったが、まだ結婚した訳ではない。
坂本の好きなように行動してくれて構わない。
こんな言い方をするのも変だし、…言っておきながらも、本音では許可はしたくないと思っている。
だけど、藍原が坂本の気持ちに、同じように従うのであれば、俺がどんなに思っていようが、何をしようが、それは無駄な事だ。
遠慮はいらない。坂本の思うようにすればいい」
諦めの境地ではない。
俺は藍原の気持ちに従うまでだ。
…恥ずかしいくらい俺の気持ちはいつも伝えてある。
この先があるかどうかは、…もう藍原次第という事だ。
初めから解っていた事だな。
思いを打ち明けた時、藍原の返事は即答ではなかった。少し考えさせて欲しいと言った。…ずっと好きだったと言っていた藍原の好きは…今はそういう事だ。
…いつからか、好きだと思う事に徹し過ぎて、好きという気持ちは形だけの物になり、そして思い込みで失恋をして…。どれだけの気持ちでいるのか…。
「今日、荷物を出したばかりだが、藍原がまたあの部屋に戻りたいと思ったら、少しずつでも自分で運んだりするだろう。そうしたいと言ったら、無理に引き止めるつもりは無い。俺は、また…最初から始めたらいい事だ。
来月まではあの部屋、まだ住めるんだろ?」
「はい」
フ…当たり前のように知っているんだな。
再契約が出来なくても…、坂本の部屋に移る事も出来る。何てったって、…隣だもんな。
「…何があっても、責めるつもりはない。恋愛にハプニングは付き物だろ?」
頭で考えて行動するのか、衝動に任せるのか。
「坂本、少し飲まないか?」
「あ、でも、課長、車ですよ?」
「ああ…、代行を頼めばいいし、置いて帰ってもいい。あー、だけどあまり強く無いから、飲むと言っても俺はほどほどにだが」
「…はい。では飲みますか」
「もっと早く、こんな話をしておけば良かったな。今までは中途半端な探り合いのようなモノだったから」
「あの、場所を移動しましょうか?
もう少し課長の家に近いところに戻ってから飲めば、車も家に置いてから移動出来ます。その方が、…この後に不安が無いです」
飲んでいる間に気持ちに何かあれば、後が面倒臭くなるだろう。
「…そうだな。じゃあ、取り敢えず出よう。…バーにでも行くか」
「任せます」
「ん。あ、いい。ここは俺が持つから」
伝票を取ろうと手を伸ばしたら制止された。
「俺の昼に付き合って貰ったんだから」
いいえ、話をする為ですよ。
でも、それはそれ、これはこれなんだけどな。
「…では、ご馳走になります」
「ああ。変な借りを作ったかもとか、考え過ぎるなよ?
これは普通の事だ」
「はい」