きみのためのプレゼント
一年近く、メールのやり取りをして迎えた、【ナナ】の誕生日。私は、よりにも寄って朝から高熱で寝込んでいた。当然、学校も休んで、携帯を打つことすら困難。


【ナナ】の誕生日だというのは、分かっていたけれど、どうしても身体がいうことを聞いてくれなくて【ナナ】には当日にメールを送ってあげられなくて、申し訳ないけれど、明日、謝って改めてメールを送ろう。そう、思っていた。



翌日、なんとか熱は少し下がり、すぐに【ナナ】へメールを送った。



『昨日は、ごめんね。遅くなったけれど、お誕生日おめでとう』



だけど、その返事が返ってくることはなかった。最初は見てないのかなと思ったけれど、一週間が過ぎても返事がない。【ナナ】からの返事がこんなに遅いことはなかった。



もしかしたら、誕生日当日に送れなかったから?



『ナナ、ごめんね。誕生日当日に送れなかったから怒っちゃったかな?本当に本当にごめんね』

『ナナ、怒ってる?返事が欲しいよ』

『ナナとまたメールがしたいです』



何度も何度も送ったメール。それでも、ない返事。【ナナ】のことばかりを考えていて、陸上にも集中できない。


でも、私が【ナナ】のことで知っているのは隣の区の中学に通っているということと、同い年で陸上部。そしてハンドルネームの【ナナ】。


私は、すぐに本名を名乗ったけれど、そういえば、【ナナ】の本名は教えてもらってはいない。

そして、しびれを切らした私は【ナナ】に最後のメールを送った。



『ナナのことが嫌いになりました。もうメールもしません』
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