きみのためのプレゼント
「違う、違う。フォークダンスの後に花火が打ち上げられるでしょ?あの花火を好きな人と見るとずっと一緒にいられるっていうジンクスがあるの」


「ふうん。そうなんだ」


「そうなんだじゃないよ。いいの?さあちゃん。藤本くんのこと誘わないで」


誘わないでいいの?と言われても、離れると言われた以上、私から声をかけることなんて出来ない。


でも、花火、打ち上がるのか。花火大会の花火は本当に綺麗だった。あんな特等席で見た花火、きっと忘れることはない。


だけど、翔平が他の女の子と花火を見るのは、やっぱり嫌だ。やっぱり私は待つことが苦手みたい。でも、我慢、我慢。


九月中旬、体育祭の選抜メンバーを決めることになった。ハルは当然百メートルリレーに出ると思っていたのに、今年はなんと玉入れに出るという。



「だって、部活でいつだって走れるし、今年は私、さあちゃんと玉入れ一緒にやりたいもん」



私の出る競技なんてないと思っていたのに、玉入れなら私も出られるとクラスのみんなが推薦してくれた。


きっと車椅子で玉入れなんてしたら目立つと思う。もちろん、聞きたくない言葉だって言われるかもしれない。でも、今のハルの言葉で全部吹き飛んだ。


「ありがとう、ハル」


「ううん、玉入れ頑張ろうね」
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