きみのためのプレゼント
それなのに、苦しくて、辛くて、岡部さんのことを思うと胸が張り裂けそうになる。


もしも、今私の足が自由に動けば、すぐにでも謝りに行きたい。行って、「友達になりたい」と伝えたい。



「どうしたの?藤野さん!」



松岡先生にベッドに寝かせてもらってから、ずっと止まらなかった涙。足が入れ替わった時にも涙なんて流れることもなかったのに。


どれだけ拭っても、拭っても止まらない。気がつくと、もう藤本くんが迎えに来てくれる時間だったらしく、涙を見られてしまった。



「・・・藤本くん。お願いがあるの。連れて行って欲しいところ、陸上部のグラウンドにわたしを連れて行って」



藤本くんが迎えに来てくれたということはもう、ホームルームが終わり、部活組と帰宅組に分かれる時間。きっと、岡部さんはもう部活に行ってるに違いない。

藤本くんは少し、ビックリしていたけれど、分かったと車椅子を押して、グラウンドに向かってくれた。


足が入れ替わってから、初めてやってきたグラウンド。懐かしくて、胸が熱くなったけれど、ここをもう走ることはない。


グラウンドを見渡すと、やっぱり彼女はいた。着替えて、ウォーミングアップをしてる。傷つけてごめん。泣かせて、ごめん。それから・・・


「岡部さん!いつも気にかけてくれてありがとう。これからもよろしくね」
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