猫の湯~きみと離れていなければ~
宮はわたしの手を持つとにっこりと微笑み、倫はべったりとわたしに頬をすりよせてきた。
「その子猫ちゃんは鈴さんに感謝しているにゃん」
「そうにゃ。幸せな時間を過ごせたにゃ」
「どうして? わたしのせいで殺されてしまったんだよ? 」
嫌われると思っていたのに、予想外の言葉に驚いてしまう。
「だって鈴さんがいなかったらその子猫はカラスにつつかれて、生きたまま食べられてしまっていたにゃん」
「そうにゃそうにゃ。鈴さんがいたから少しでも幸せな時間を過ごせたにゃ」
目を細めてにっこりとわたしに笑顔をむける宮と倫。
微笑ましい話なんて何一つしていないはずなのに。
「わたしが飼おうって言わなかったら、猫ちゃんはちゃんとした人に拾われていたかもしれないんだよ? 」
「くだらん考えだな。それは確定された未来ではなく、お前の希望だろう? 」
副会長は真剣な顔をしてわたしを見つめている。