猫の湯~きみと離れていなければ~


ああそっか。

わたしから返事がなかったときの手紙の内容を、やっぱり莉子は覚えていたんだ。


だってそうだよね。

友達に好きな人を打ち明けるのって『がんばって』『絶対に告白成功するって』みたいにはげまして欲しい気持ちがあるからだし。


なのにそれきり、わたしからの手紙の返事は届かなかった。

莉子はその意味に気がついてる。



「陽向くんと私が付き合っているのは知ってる?」


わたしは小さくうなずいた。


「でもまぁ陽向くんにとって、鈴はただの幼なじみなんだから心配はしていないけどね」



『ただの幼なじみ』



そこを強調するんだ。


陽向くんはあなたを友達としか思っていないんだから、諦めた方がいい


ってことだよね。

そんなこと言われなくても分かってる。



『わたしの気持ちを知っているでしょ? 』



それなら莉子だって同じじゃない。

わたしの気持ちを知っているならどうして見せつけるようなことをするの?


それって、
わたしが傷つくのが分かっているからじゃないの?



でもそんなことを口に出す勇気はない。

言ったところで、莉子を不快にさせるだけだから。
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