猫の湯~きみと離れていなければ~
「あのー、山城莉子さんですよね? 握手してもらってもいいですか?」
3人組の主婦らしき女性たちが声をかけてきた。
「ごめんなさい。今はプライベートの時間なので、本当に申し訳ないんですけど」
莉子は笑顔を作って頭を下げると、その女性たちは残念そうに自分たちの座っていた席へと戻っていった。
そしてこちらを見たままヒソヒソと何かを話し始めた。
握手を断られた途端に、莉子の文句を言い出したんだと思う。。
酷い。なんて勝手な人たちなの?
心配するわたしに気づいた莉子は、なんてことないって感じで答えた。
「思い通りにならなかったら手のひらを返して悪態をつく。こんなのもう慣れっこよ。いちいち気にしてたらやってられないの」
いい気はしてないと思うけど、でもそう言い切れる莉子は強いんだね。
わたしならすぐに心が折れてしまう。