派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
「派遣会社の人間が言っていたぞ。
 トラブルを起こしてやめたけど、前の会社では、かなり優秀だったと。

 なんで、揉め事起こしたんだ」
と問われ、

「そこは追求しないでください~」
と布団に潜る。

 本当に今、思い出したくないから、と思っていた。

 布団を引っぺがすことなく、渚はぼそりと言った。

「俺はお前の爺さんも同じだと思うな」

「え? なにがですか?」
と自ら顔を出すと、その顔を両手でつかまれ、ホールドされる。

 勝手に上に乗ってきた渚が言い切る。

「蓮、お前はこれから自立するんだ」

「は?」

 力強い渚の言葉と瞳に、視線も外せない。

 怪しい宗教かなにかのように、私を洗脳しようとしているっ、と身構えたが、やはり、渚から目がそらせない。

「お前は、自力で俺という素晴らしい夫を捕まえて、実家から自立するんだ。

 金銭的にも、精神的にも。

 今度から、実家の威光じゃなくて、俺の威光を笠に着ろ」
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