派遣社員の秘め事 ~秘めるつもりはないんですが~
ちょうどあっちに用事があるって、なんの用事があることにしようかな、と思いながら、脇田は傘を広げていた。
だが、蓮は、特にそういった追求はせずに、群青色の傘を見上げ、
「大きいですね、脇田さんの傘。
脇田さんが大きいから?」
と言ってくる。
「いや、身長大きいのと、傘大きいの、関係ないよね……」
横に広いわけじゃないんで、と言うと、あっ、そうですよねー、と蓮が苦笑いする。
なんだろうな。
高校のとき、女の子と初めて一緒に傘に入って帰った。
あのときより、ドキドキするな、と思っていた。
渚はあの外見に反して、あんまり女の子に縁がなかったようだが。
自分はそうでもなかったのに、蓮を前にすると、ちょっと緊張する。
まあ、渚の場合、近寄りがたいところがあるからな、と思っていた。
渚に声がかけられないから、二番手のこっちに来る子が多かったというのが本当のところだろうと思っている。