グリーン・デイ





 病院の場所は大体予想がつく。この辺りに大きな病院は一カ所しかないのだ。車で5分ほどの距離で、軽トラの運転に手間取らなければ、もっと早く着いていただろう。



 受付を済ませ、それから受付の人から教えられた病室へ向かった。エレベーターの14階。消化器内科だった。



 ネームプレートで父の名前を見つけ、ドアに手をかけたところで、花でも買っておけばよかっただろうかと思った。しかし、父のことだ、「花なんかすぐ枯れる。いらん。」と逆に怒鳴られてしまうかもしれない。いや、待てよ。何も持って来なかったことに関して怒鳴るだろうか。まあ、どちらにせよ、怒鳴る元気があれば、安心する。



 深呼吸を二つして、それからドアをつつっと開けた。四人部屋の奥のベッドで、カーテンを開けると、一瞬、凍り付いた。部屋を間違えたと思ったのだ。



 しかし、よくよく見ると、父だった。一目で確認できないほどやせ細っていて、太ももなんて僕の腕くらいの太さしかない。髭は白髪交じりで、伸びきっていて、目はとろんと垂れている。胸には管が通っていて、それをガーゼのようなもので止めてある。見るに堪えない。これがあの父だなんて信じたくなかった。



 父がゆっくりと首を動かして僕を見た。



「おお……健二か?」



 僕は傍にあったパイプ椅子に座った。



「そうだよ。父さん。」



 これが僕と父の三年ぶりの会話だった。喧嘩どころではない。それはきっと父も同じだろうと思う。




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