心に届く歌
わたしは身を乗り出す。
「何で?」
「詳しいことはわからないと申しておりましたが、どうやらシエル様、色々と問題を起こし学校を1年で退学されたようなのです。
それも自主退学ではなく強制退学で、学校側は生徒を強制的に退学させた事実を隠蔽したかったようですね。
シエル様の証言を元に再度学校側に聞いた所、1年間ですが在籍していたことを教えてくれたようです」
強制的に退学させたことを隠蔽するため……。
だから調べても出て来なかったんだ…。
「問題起こしたって、何をしたの?」
「そのことについて学校側は言わなかったようです。
元々シエル様の“学校に行った”と言う証言があったと言ったにも関わらず、
学校側は最初頑なに拒否し、
何時間も問い詰めた所渋々白状してくれたのです。
“問題を起こし、強制的に退学させた”とは言ったようですが、どんな問題を起こしたのかは言わなかったようですね……」
「シエル……そのこと聞いても言わないでしょうね」
「ええ……シエル様多く自分のこと語りませんからね」
わたし達は苦笑いを浮かべる。
シエル……学校で上手くやっていると良いんだけど。
「はぁーあ、シエル大丈夫かなぁ」
「お嬢様は本当にシエル様のことばかり心配しておりますね」
「だって心配じゃない?
シエルはわたしにとって大切なお友達よ!」
「……お友達、ですか」
「え?どうしたのドク」
「いえ……。
お友達、大切にしてくださいねお嬢様」
ドクはにっこり微笑み、読書を再開する。
わたしは気になったものの深く聞かず、ドクの部屋を後にした。