心に届く歌
「シエル先輩。考え直してあげるわね」
「……はい」
「ふふ。
最初に管理人のおじさんから言われていたの。
新人がエル様と国王様と王妃様の部屋に行ってはいけないって。
それをあんたが破る姿を見ることが出来て、アタシは満足だわ」
「…………」
「本当、あんたって心がないみたい」
「…………」
「ほら、もっと案内しなさいよ」
彼女は僕の耳元に唇を寄せ、囁いた。
「役立たず」
「ッ!!」
ズキリと頭が痛む。
割れそうなほどの痛みで、僕は頭を両手で押さえてそのまましゃがみ込んだ。
幸せに、僕は、ナレナイ。