心に届く歌
☆エルside☆
「……やっぱり可笑しい」
ペン回しをしながら、わたしは呟く。
机に広げたノートは真っ白だ。
さっきシエルが、新人ふたりを連れてきた。
新人をわたしと両親に近づけない決まりがあるにも関わらず。
基本的に反論せず従うシエルが、決まりを破るはずないのだけど。
それに聞きそびれてしまったけど、シエルの顔色が悪かった。
話し方も覇気(はき)がなく疲れているようで。
「大丈夫」とか一言聞きたかったけど、『話しかけるなオーラ』が出ているように感じちゃって聞けなかった。
にしても、あのメイドと執事。
何だか企んでいそうな目をしていた。
わたしに近づいて何をするつもり?
それともシエルに何かする?
「……胸騒ぎがする」
わたしはペンを置き、呟いた。