心に届く歌
☆シエルside☆
カチッと音がする。
その音だけで、簡単に見ている景色が歪む。
熱い。
やめて。
熱い、熱い、熱いから。
「てめぇこそふざけんじゃねぇよ!!」
気づいたらプーセさんに馬乗りになっていた。
煙が出る煙草は床へ吹き飛んだ。
「エル様に触れるな!
また触れたりでもしたらぜってぇ許さねぇからな!!」
「はあ……?んだよお前、出しゃばるな!」
「勝手に触れてんのはあんただろ!?
この人はあんたみたいな人が触れて良いほど簡単な人じゃない!」
「シエルっ!」
名前を呼ばれ、ハッと気が付く。
……僕、一体何を…。
「シエル来なさい」
「っ……ごめんなさ…」
「攻めているわけじゃないの。とにかく来て」
僕は言われた通り、プーセさんから離れてエル様の斜め後ろに立つ。
「プーセも、今日は帰ってちょうだい」
「……さっさとその貧乏人を捨てろ」
プーセさんは舌打ちをして部屋を出て行った。
床に落ちた煙草を足で押し消して。