心に届く歌
「シエル?シエル、ねぇ、どうしたの?」
「……ひっ…うっ……」
「シエル?シエルどうしたの?」
食べる手を止め近づこうとすると。
「……れ…」
「え?」
「……トイレ…どこですっ…か……?」
「シエル…?もしかして気持ち悪い?」
ぶんぶん首を振られるけど、顔は血の気を失くして青白くなっている。
わたしは食べかけのステーキをご飯の乗ったお茶椀の上に乗せると、
シエルの前にお皿を出した。
「シエル。ここに出して良いよ」
「……でもっ……うっ…」
「我慢は体に良くないから。ね?
シエル、大丈夫だからね」
ガタガタ震えていたシエルだけど、
我慢の限界に達したのか、吐き始めた。
食べ物を口にしていないらしいシエルは、ほぼ胃液だけを吐き出した。