心に届く歌
「ひゅっ……うっん……」
「気持ち悪かったね。頑張ったねシエル」
わたしはシエルのお粥と一緒にシェフがつけてくれたお水のはいったコップを差し出す。
「口の中酸っぱいでしょ?お水飲んで」
「……ありがとう…ございます」
震えた手でコップを受け取ったシエルは、ゆっくりとお水を飲み始める。
風邪を引くと基本戻してしまうわたしには、お水は必需品だったのを思い出す。
「……っ……うっ……」
「シエル?」
声をかけてすぐ、シエルはさっき吐いたお皿の上に、飲んだばかりの水を吐き出した。
「シエル、大丈夫?」
「ごめんなさいっ……大丈夫です…」
ぎゅっと目を瞑るシエル。
わたしは内線電話でドクを呼んだ。