心に届く歌
「……脱水症状になりかけていますね。
点滴を追加しましょうか」
すでに解熱剤と栄養剤の2本の点滴を受けているシエルの腕に、
脱水症状を防ぐための点滴がもう1本刺される。
折れそうな腕に点滴が3本刺さるのは見るのでさえも辛い。
「ドク」
「お嬢様。少々よろしいでしょうか?」
ドクはわたしを見て言う。
わたしは頷き、ドクと一緒に廊下に出た。
「わたくしの予想ですが、彼はご飯を食べると吐くのかもしれませんね」
「…………」
「同時に水分も吐いてしまうのでしょう。
きっと彼自身が食べたり飲んだりするのを拒否している」
「………治せるの、それ」
「どうでしょう……。
お嬢様次第…でしょうね」
「………わかったわ。
ドクは引き続き調査をお願いするわ」
「承知致しました」
わたしはドクと別れ、部屋に戻った。