心に届く歌
「シエル。起きてる?……シエル」
結構戻したのでシエルはぐったりと横になっていた。
呼びかけるとぎゅっと閉じていた目を開けた。
「ごめんなさい……本当に…」
「謝らないで良いからね。
体調悪いんだからしょうがないよ」
「…………」
「ねぇシエル。…前髪上げられる?」
「……何でですか…?」
「ちょっと…ね。駄目?」
「……嫌です」
シエルは目を瞑り首を振ってしまう。
「シエルの目、見せてほしいの」
「…………」
「シエル。
こっち向いてよ、シエル」
「……上げたくないです…どうしても」
目をぎゅっと閉じ、体を小さく丸めるシエル。
存在を押し殺すように目立たなくする呼吸が、何だか辛かった。
「シエル。
わたしと友達になっても良いよね」
「……え?」
「シエルとわたしは、もう友達だよ」
シエルは何も言わなかった。
だけどわたしは、拒否されなかったことが嬉しかった。