心に届く歌
「……エル」
黙っていたお父様が口を開く。
「彼…そのシエルくんは、施設に送ろう」
「え?」
「そうすればエルが面倒を見る必要もなくなるし、国民の反応も良いだろう。
傷を負った人を救うその心そのものは素晴らしいのだからな。
そうと決まれば良い施設を見つけて送ろう」
「それが良いわねあなた!」
シエルを施設へ?
そんな考えのなかったわたしは、シエルをこのまま家に同居させるつもりだった。
「待ってお父様お母様!
シエルを施設だなんて許さないわ!
わたしの友達を勝手に施設なんかに送らないで!」
「エル!」
お父様の鋭い声。
わたしはそれ以上言おうとした言葉を飲み込んだ。