心に届く歌
「エル。
お前はもう19歳だ。
良い加減に自覚しなさい。
1年後にはお前に王の座を譲る。
その準備だって着実に進んでいる。
そんな中、どこの誰かもわからない奴を家に置いておくことなど出来ぬ。
さっさと施設に送った方が、ソイツだって幸せだろう」
ハッとする。
そうだ。
シエルは早く出たいと言っていた。
施設へ行った方が、シエルの願いが叶う。
次期国王のわたしと一緒にいるより、シエルは同じ身分の子と幸せになった方が良いはずだよね?
それの方が…シエルの気持ちも楽になるよね……?
「……わかったわ。
でも今すぐは止めてほしいの。
少なくとも明日のお昼にしてほしいわ」
「……わかった。
では明日のお昼、迎えに行かせる。
戻って良いぞ、エル。ドクくんもだ」
「……おやすみなさいお父様、お母様」
「失礼致します国王陛下、王妃殿下」
わたしはドクと一緒に部屋を出た。