地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
そんなある日の金曜日。
いつもより早く仕事が終った俺は急いで玲美の家へと向かった。
明日にはまた啓太が泊まりにくるかもしれないし、今日くらいはゆっくり玲美との時間を過ごしたい。
明日は玲美は休みで俺は仕事だけど、そのまま玲美の家に泊まって、玲美の家から仕事に行こう。
そう思いながら玲美の家に着いた。
車を停めてインターフォンを鳴らすと玄関の扉が開いた。
「ただいま」
「お帰り」
玲美が笑顔で俺を出迎えてくれた。
やっぱり玲美の笑顔は癒やされるし、仕事の疲れが一気に吹き飛ぶ。
靴を脱ぎリビングに向かうと俺は一瞬目を疑った。
そこには居ないと思っていた啓太がおもちゃで遊んでいたからだ。
「何で啓太が今日居るんだ?」
「え、私が明日は休みだって伝えたら今日に泊まるって泣き出してさ、可愛そうだから恵美(えみ)ちゃんに連れて来ていいよって言ったの」
「マジかよ……久しぶりに仕事が早く終わったから玲美とゆっくり過ごせると思ったのに」
「まだ啓太くんは子供なんだしいいじゃない」
「玲美も最近は啓太にベッタリで俺を放置しすぎだろ?だいたい姉貴も俺達に気を使えばいいのに。今から俺が姉貴に連絡する」
そう言ってスマホを手にしたら玲美がそれを取り上げた。
「いいじゃない、恵美ちゃんだって色々と大変なのよ……それに啓太くんもうすうす気づいてるみたいだし。とにかくもう暫くは啓太くんを家で週末は預かるから陽もそんなに怒らないの!」
何故そんなに剥きになって言うのかはわからないけど、ちょとは俺の気持ちも分かれよな。
そんな俺の気持ちも知らないで啓太は俺を見て言った。
「何だ、陽来てたのかよ?」
何だその口の聞き方は!?
「玲美ちゃーん、それ終わったら一緒にお風呂入ろ?」
玲美には甘えた声でそう言う啓太に俺は嫉妬して、そのまま啓太を抱きかかえると俺は言った。
「啓太、今日は俺と風呂に入るぞ!玲美、着替えの用意だけよろしく」
そう言って嫌がる啓太を無理やり浴室に連れて行った。