地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
震えそうな声をどうにか落ち着かせて私は言葉を口にした。
「もしもし」
『玲美?俺だけど……ちゃんと会って話がしたいから二時間後に家に行っていいか?』
「話なら電話で聞く」
『頼む、電話越しじゃなく玲美の顔を見て話したいんだ』
「わかった」
『じゃあ後で行くから』
そう言って電話を切った。
これで本当に山岡主任との関係が終わってしまう。
もう苦しまなくて済むと思ったら楽になった。
「山岡主任は何だって?」
「二時間後に家に来るんだって。会って話がしたいみたい」
「やっぱりな、俺が思った通りだったよ。顔を見て話をして、優しさで玲美を上手く誤魔化そうとしてんだろ。俺が居たらそれは出来ないし、玲美もちゃんと言いたい事を言わなきゃ意味がないから、俺はアイツが来たら二階に行く。何かあったら直に玲美の所に行くからな。それからもう一度言うけど、泣くのはアイツが帰ってから俺の前で泣けよ?俺の車はバレるから駅前のパーキングに車を移動させてくる」
「うん……」
陽は車を移動させに行って、パーキングから歩いて家に戻ってくると、山岡主任が来るまでまだ時間があったから、陽はそれまでの間に何か違う事に集中してテレビゲームをしようと言った。
そのお陰でテレビゲームに集中する事も出来て、少し笑う事も出来た。
山岡主任の事を忘れかけてゲームに集中していた時だった。
家にインターフォンの音が鳴り、そこで楽しかったゲームの世界から現実に引き戻される。
「来たみたいだな?」
「うん……」
「アイツに負けるなよ?自分の口でちゃんとアイツと関係を終わらせるんだ。今迄玲美は苦しんで涙を沢山流してきたんだ。アイツの為にもう苦しむのは今日で終わりだ。頑張れ玲美」
そう言って私に軽く口づけをして陽は二階へと階段を上がっていった。
何回かインターフォンが鳴り、私は玄関に向かう。
前なら嬉しくと直に玄関の扉を開けただろう。
だけど今は違う。
この扉を開けてしまうと山岡主任とはもう……
私は玄関の扉を開けた。