幸せの形
「怒らないで、ウソじゃないってば」

柔らかく笑うと、真剣にそう言った。

「ウソだ…」

「え?」

「ウソをつくの好きなクセに」

じと目で千歳は、せいいっぱいの反撃をした。

「なるほどー良く見てるね。うん、そうかもね」

どうやら自分で気づいていなかったらしい…新しい発見に感心している。

「でもね、好きなのは本当、かわいいと思っているのも本当、からかいがいがあると思ってるのも…」

と言いかけて、自分が口がすべっていることに気づいた。

ヤバ、という顔をして口を手で押さえると千歳の反応をうかがう。

「…それは信じる」

千歳はムスッとした顔で、鳴海をにらみつけた。

「あはははは…」

鳴海は大爆笑して、店内で笑いころげた。






「お父さんの人生はね、笑いがたえない…いい人生だと思うよ?この人のおかげで」

自分を指して息子に人生を語っている夫に向かって、さつきはムスッとしながら口をはさんだ。

「…それ、大爆笑の間違いじゃない?」

そのセリフに、父と子は目を見合わせると、

「それは違いない!」

と言って二人は腹を抱えて大爆笑した。

笑いが家中に、こだまする。

さつきも二人が笑っているのを見ているうちに、なんだかおかしくなってきて、笑いに参加してしまった。

そして心の中に、ふと昔思った幸せの形が見えた気がした。


これだったんじゃないかな、たぶん…



(おわり)
< 12 / 12 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

告白の時間

総文字数/27,667

恋愛(純愛)53ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
千歳さつきがマスターをする喫茶店「空の名前」に15年来の友人、桂木十子(かつらぎ・とうこ)と花園樹(かその・いつき)が訪れた 酒盛りがはじまり、千歳と花園が酔い潰れた横で桂木は、鳴海にある頼み事をする その内容は、鳴海に千歳を口説いて欲しいという内容で… 鳴海は好奇心と親切心からこの計画に協力する事になるのだが、桂木には真の思惑があって… 「黄金時間が過ぎるまで」のスピンオフの小説です。本編をお読みになってる方もそうでない方も楽しめる、短編恋愛小説になっています(たぶん)
海の花は雪

総文字数/151,818

ファンタジー369ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
夏休み、学校の図書館を訪れた深谷少年は、ある扉を開た事から異世界に行ってしまう そこで出会ったのは、同じ学校の上級生のハルで、数日前ここに来て帰れなくなったと言う… 果たして、そこは一体どこなのか?無事に生還する事は出来るのか…? そんな二人の出会いから始まる、海底ロマン&学園ほのぼのファンタジーです(^_^) ☆海底の王国〈封印編〉&海底の王国〈外伝〉とリンクしています
美術部ってさ!

総文字数/4,217

青春・友情10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
美術の補修を受けていた男子高校生の椿は、デッサンのコツを美術部の男子部員、冬馬に教えてもらう事になる それは美術部員独特のユニークなもので、椿は美術部と変わり者の冬馬に興味を持ちはじめる… ありそうでない、美術部ものの短編小説です

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop