つまらない男
 そんな俺が小説と出会い、現在所属している創作団体のみんなと出会い、一緒に一つの作品を創り、一種の生き甲斐にも似たものを見つけることができたのは俺の人生の中でも大きな発見といえるだろう。
しかし、それだけだ。俺にはそれしか、書くことしかなかった。それが、俺の全てだった。
 現実では今だに彼女もいない、友達も少ない、特別仕事ができるわけでもない、面白い話一つもできない、ただのつまらない男なのだ。
肝心の小説だって中高生レベルだし、ただの自己満足でしかない。そんなことは分かっている。
それでも、俺は今も書き続けている。なぜか。それは、俺にとって小説は、創作は生き甲斐であり、一種の自慰行為みたいなものだからだ。
辛くて、どうしようもない時や、ストレスが溜まってどうしようもない時、何かをぶつけたい時、発散したい時に吐き出す場。それが俺にとっては小説だった。小説は俺にとって心の写し鏡みたいなものだった。
つまらなくて、毎日が今日の繰り返しで、無限ループのような俺の人生に、小説は、創作は、ほんの少しの変化をもたらしてくれる―。
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop