一寸の喪女にも五分の愛嬌を
(何見てんのよ。痴話げんかじゃないわよ)
不快に思いながら顔を上げた私は、息を止めた。
腕を組んでいるカップルの女性が、おずおずと口を開いた。
「……薫?」
泣き笑いの表情をしている彼女は、私を見てから、次に成瀬を見遣った。
「もしかして……彼氏?」
彼女の問いかけの声の中に、少し明るさがこもった。
今、頭が割れそうに痛い。
鈍器で後頭部を叩かれると、きっとこんな衝撃を受けるのだろう。
声も出ない。周囲の音も消え去っている。
立っているのかどうかさえ自分の感覚がつかめない。
(こんなに……衝撃を受けるなんて……)
目の前に立っている彼女は、橘綾乃(たちばなあやの)、高校の同級生。
そして彼女の隣に立っているのは、北原宗一郎(きたはらそういちろう)。
私の元彼氏だ。
彼は一言も発せずに、ただ冷えた瞳で私を見ている。
いや、多分見ている、が正しい。
私は二人を直視できずにいた。
不快に思いながら顔を上げた私は、息を止めた。
腕を組んでいるカップルの女性が、おずおずと口を開いた。
「……薫?」
泣き笑いの表情をしている彼女は、私を見てから、次に成瀬を見遣った。
「もしかして……彼氏?」
彼女の問いかけの声の中に、少し明るさがこもった。
今、頭が割れそうに痛い。
鈍器で後頭部を叩かれると、きっとこんな衝撃を受けるのだろう。
声も出ない。周囲の音も消え去っている。
立っているのかどうかさえ自分の感覚がつかめない。
(こんなに……衝撃を受けるなんて……)
目の前に立っている彼女は、橘綾乃(たちばなあやの)、高校の同級生。
そして彼女の隣に立っているのは、北原宗一郎(きたはらそういちろう)。
私の元彼氏だ。
彼は一言も発せずに、ただ冷えた瞳で私を見ている。
いや、多分見ている、が正しい。
私は二人を直視できずにいた。