一寸の喪女にも五分の愛嬌を
「な、成瀬?」

 いつにない強引な行動に戸惑いを隠せないまま、成瀬に引かれてエレベーターも降りる。

 部屋の前に来た時、成瀬が私へと手を広げて差し出した。

「先輩、鍵」

「え……あ、はい」

 気迫に飲み込まれてしまい、素直に従ってしまう。

 部屋の鍵を受け取った成瀬は、当然のように私の部屋の鍵をガチャリと開け、私の背中を押して一緒に玄関に入ってきた。

(……成瀬?)

 いつもと違った様子の彼に、どう対応していいのかわからない。

 靴を脱いでいいのか、それともこのままここに立っているべきなのか、次の行動に移せず戸惑っている私を、成瀬はおもむろに強く抱きしめた。

「なるっ――!?」

 驚きに息を止め肩をすくめた私を、成瀬はますます強く抱きしめる。

「先輩、今夜は泊まるから」

 感情を押し殺したような平坦な声で告げられて、私の心臓がキュッと音を立てた。

「な……どうして……」

 問いかけようとした私の言葉を遮り、成瀬は私の頭を自分の肩に押しつけさせる。


 ――これ以上、何も言うな。


 そう態度が示している。

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