一寸の喪女にも五分の愛嬌を
 だから慌てて言い添えた。

「あ、いえ、それは……その、今は彼氏とか考えられないと……」

「だからもう少し時間を置いてから考えて欲しいんだ」

「いえ、そういうことではなくてですね、私は――」

「わかってる。今のこの四面楚歌の状態では付き合いなんて考えられないよね」

「いや、だからそうじゃなくて、今私は――」

「大丈夫、俺が絶対に守るからさ」

「だから、それ違うし、話を聞いてくだ――」

「何も言わなくていいよ。あんな噂なんてすぐに消してあげるからさ」

「だから聞けよ、話を!」

 ガツン言い放ってしまってから、バッと口を押さえた。


(しまった! かみ合わない言い合いについ乱暴に言ってしまった!)

 会社でかぶり続けている猫がごっそり剥がれ落ちた瞬間、私だけでなく早川さんも凍り付いている。

(あわわ、どうやって誤魔化そう)

 慌てながら言いつくろうために口を開きかけた私に、早川さんはおずおずと問いかけてきた。

「えっと……ごめん、今、ちょっと俺の耳がおかしかったみたいだけど、なんて言ったのかな?」

(あ、幻聴にしてくれてる!)

 ラッキーとばかりに、私はいつもの口調に戻した。

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