一寸の喪女にも五分の愛嬌を
「こんな私を気に掛けて下さりありがとうございます。そのお気持ちに添えなくて本当に申し訳ありません。私のような悪い噂のある女より、もっと素敵な人を見つけてください」
では、と一つ礼をして早川さんに背中を向け会議室を出ようと扉に手をかけた途端、私の顔の横に早川さんの腕が伸びてきて扉を押さえつけた。
「待って、柴崎さん」
「待ちません。このお話はもう終わりです」
振り返りもせず私は扉に向けて告げると、早川さんはドンと扉を叩いた。
びくりと肩をすくめた私の耳元で早川さんの低い声が響く。
「でも、俺はずっと待っている。今までも待ってきたんだ。簡単にはあきらめきれない。成瀬に媚びを売っているとか、成瀬に粉をかけていると言うのがウソなら、俺にもチャンスがあるって、勝手に解釈しておく」
(成瀬に媚びを売るとか……そんな噂だったんだ)
いくらかホッとしている自分がいる。
これならば成瀬の悪評にはならないだろう。それでもやはり、成瀬のためには噂を立てられるのはよくないことだ。
「そんなつまらない噂、やめてください」
「本当に好きな人はいないの? 俺じゃダメなのか?」
そんな問いかけなんてして欲しくない。
誰が好きだとか……私はもう誰も好きになんてならない。
では、と一つ礼をして早川さんに背中を向け会議室を出ようと扉に手をかけた途端、私の顔の横に早川さんの腕が伸びてきて扉を押さえつけた。
「待って、柴崎さん」
「待ちません。このお話はもう終わりです」
振り返りもせず私は扉に向けて告げると、早川さんはドンと扉を叩いた。
びくりと肩をすくめた私の耳元で早川さんの低い声が響く。
「でも、俺はずっと待っている。今までも待ってきたんだ。簡単にはあきらめきれない。成瀬に媚びを売っているとか、成瀬に粉をかけていると言うのがウソなら、俺にもチャンスがあるって、勝手に解釈しておく」
(成瀬に媚びを売るとか……そんな噂だったんだ)
いくらかホッとしている自分がいる。
これならば成瀬の悪評にはならないだろう。それでもやはり、成瀬のためには噂を立てられるのはよくないことだ。
「そんなつまらない噂、やめてください」
「本当に好きな人はいないの? 俺じゃダメなのか?」
そんな問いかけなんてして欲しくない。
誰が好きだとか……私はもう誰も好きになんてならない。