一寸の喪女にも五分の愛嬌を
 そんな彼女の隣で、まだ私の恋人であるはずの宗一郎は、「強い女性の側では男は心から寛げない」とか、「か弱さは愛しさになる」とか、色々と並べ立てていたけれど、結局、要約してしまえば、『彼女を選んだ』という一言だった。

 デートのプランだって、何を食べたいかも、買い物の品選びの一つだって、全部私任せだった。

 何でもいいよ、薫が好きなものでいいよと、おおらかに許容してくれている彼だったはずなのに、男というのは、それだけではプライドが満たされないのか。それとも女を守りたいと思う欲求が潜在的にあるのだろうか。


「バカみたい」

 しばらく小さな公園のベンチに座って昔のことを思い出していた私の感情は、また新しい痛みを覚える。


 わかっているのだ。


 彼との別れを引っ張り出して、自分を正当化しようとしていることぐらい。

 心配してくれた早川さんに対して、とても失礼な態度を取ったことぐらい、わかっているのから自己嫌悪に陥る。

 冷たさを感じて顔を上げると、雨が降り始めたようだ。

 ポツリ、ポツリと頬に額に手に雫が落ちて来る。

 大粒の雨は思ったよりも冷たくて、あっという間に私の体温を奪っていく。
< 131 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop