一寸の喪女にも五分の愛嬌を

『本当は弱い自分』

 それがチラリと見えてしまったのだ。


 天井に向けて手を伸ばし、自分の手を見つめる。

 手入れしている爪は、淡い桜色のネイル。以前は指輪をしていたことを、もうすっかり忘れている薬指を握りしめる。

「弱くない、弱くない。私はどんなことにも心を揺らしたり痛んだりしない。もう二年以上、そうやって一人で過ごしてきたんだから、これからもそうやって過ごしていくの」

 それが当然だったのに……。

 今は何かに縋りたい気分。

 そのことにイライラしてしまい、私は起き上がると冷蔵庫からビールを取り出し飲み始めた。

 三本目のプルタブを引き上げようとした時、スマホが着信を知らせる。

「も~、誰よ。こんな時に」

 それは知らない携帯番号からの電話だった。

 出るかどうするか迷っていたが、鳴り続ける着信音が酔い始めた脳に響くから、それが面倒になって画面をスライドさせた。

「……もしもし?」

 低くて訝しさ満点の声が出てしまう。会社の誰かが聞いたなら、きっと私だとはわからないほど、不機嫌な声だっただろう。

 スマホの向こうで、いきなり笑い声が響いた。

「あははは、すごい不機嫌ですね」


 若い男の声。


 ドキッと胸が音を立てた。
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