一寸の喪女にも五分の愛嬌を
「発端は総務から始まったんですが、それを女子社員に広めているのは、受付の広川さんなんですよ」

「広川さん? って飲み会に来ていた子だよね?」

 ミキちゃんだかマキちゃんだかと言っていた方の子なのか、もう一人なのか、とにかくどちらかの女の子なのだろう。

「そうなんです。俺が先輩を送っていたことが許せなかったらしくて。そんな時に、彼女と仲の良い総務課の子が先輩に理不尽なことを言われたと言い出したらしくて、それで先輩の悪評を流して辞めさせようとしているとかって……」

「その情報、どうやって入手したの?」

「えっ?」

 わずかに成瀬がたじろいだのを見逃さなかった。

 きっと誰か女子社員が成瀬に告げ口したのだろう。

 その広川さんが成瀬を狙っているけれど、それを阻止したい女子社員がわざわざ成瀬に言いに来たのだと推察される。

(うわあ、いつまでガキ臭いことやってんだか。社会人のくせに)

「馬鹿らしい」

 我知らず口をついてしまった一言に、成瀬はふっと表情を緩めた。

「先輩……強いですね」

 思わずきょとんとしてしまった。
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