一寸の喪女にも五分の愛嬌を
色々質問してきてもいいはずなのに、成瀬は憎らしことに優秀で、営業畑にいたわりには、内勤の事情などもなんとなくわかっているのか、こちらに質問一つしてこない。
(ほんの数時間前まで一緒のベッドに寝ていたのに、ちらりともこっちを見ないの?)
胸の奥に小さい靄が広がる。
それが不快でならない。
だから三次元なんかに関わりたくないのに、と心の中で呟いた時、稲田さんが遠慮がちに声をかけてきた。
「あの、もしかしてまた酷いことを言われたのですか? すごく悩んでいるみたいですが……」
「えっ……? あ……いいえ、大丈夫です。仕事中にごめんなさい」
三つも年上なのに、敬語で話してきてくれる稲田さんは地味女子の地位を確立しているが、気の利く女性だ。
決して人より前に出ることはないけれど、細々としたことによく気がつき、サポートも上手なので、人事課ではかなり重宝され課長のお気に入りでもある。
しかし見た目は地味でおっとりしているので、上司の覚えがいいと知られた際には、かなりイヤミを言われた経験があるそうだ。
「自分が言われていた時は我慢できたのに、柴崎さんのことになると悔しくて悔しくて。どれほど柴崎さんが真面目かなんて、あの人たちは欠片も知らないのに、事実無根の噂を流してる。名誉毀損で訴えたいくらいです」
そんな風に肩を持ってくれると、泣きたくなるから困ってしまう。
(ほんの数時間前まで一緒のベッドに寝ていたのに、ちらりともこっちを見ないの?)
胸の奥に小さい靄が広がる。
それが不快でならない。
だから三次元なんかに関わりたくないのに、と心の中で呟いた時、稲田さんが遠慮がちに声をかけてきた。
「あの、もしかしてまた酷いことを言われたのですか? すごく悩んでいるみたいですが……」
「えっ……? あ……いいえ、大丈夫です。仕事中にごめんなさい」
三つも年上なのに、敬語で話してきてくれる稲田さんは地味女子の地位を確立しているが、気の利く女性だ。
決して人より前に出ることはないけれど、細々としたことによく気がつき、サポートも上手なので、人事課ではかなり重宝され課長のお気に入りでもある。
しかし見た目は地味でおっとりしているので、上司の覚えがいいと知られた際には、かなりイヤミを言われた経験があるそうだ。
「自分が言われていた時は我慢できたのに、柴崎さんのことになると悔しくて悔しくて。どれほど柴崎さんが真面目かなんて、あの人たちは欠片も知らないのに、事実無根の噂を流してる。名誉毀損で訴えたいくらいです」
そんな風に肩を持ってくれると、泣きたくなるから困ってしまう。