一寸の喪女にも五分の愛嬌を

 バカみたい……。バカみたい……。

 いい年して、年下の後輩のたった一言にこんなに動揺するなんて、本当にバカみたいだ。

 誰かに心の中まで見られたら、呆れかえられてしまうかもしれない。


 ――浮かれるな、喪女が。


 なんて罵倒されるかもしれない。

 わかっているのに、ドクドクと走り回る体中の血が落ち着いてくれない。

 しばらく途方に暮れて、その場で私は立ちすくんでいた。



 自分のデスクに座ってから、細々とした書類の整理などをしていた私は、やはり思い立ってスマホを取り出す。

 別に今、ゲームを進めるためじゃない。

 確かに今日は珍しく朝、アプリを開いていない。毎日必ず武将や王子と話を進め、ガチャを引いたりお城やお部屋の模様替えなんかを時にはし、気分転換してから出社するのに、今日は何もする気がしなかった。
 私はファイルフォルダーから今朝撮ったばかりの雑誌のページを開き、成瀬のスマホ宛てメールに添付する。

 タイトルに、『行きたい場所』と打ち込み、待ち合わせ場所は本文に入れる。

 ここは夜遅くまでやっている水族館だ。

 その隣に水槽を見ながら食事ができるレストランが併設されている。
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